HOME | 山歩きのプラン  | 山の歩き方 | 登山用品と服装 | 山のアラカルト | 山行記録 | プロフィール

富士山・御殿庭(ごてんにわ、2170m)

平成26年(2014)8月6日(水)2名
YAHOO!地図
バスルート 全国バス停
路線バス時刻表
@nifty路線情報
日本気象協会
ヤマレコ
登山計画書(届)PDF
登山届:警察関係の提出先
 
山行記録(山域別)
丹沢・箱根・東海
奥多摩・奥武蔵・秩父
中央沿線(道志)
富士山周辺・道志
八ヶ岳・日本アルプス・尾瀬
御殿場口五合目~双子山~御殿庭~双子山~^御殿場口五合目のGPS軌跡
御殿場口登山道入口 下双子山(左、1,804m)と上双子山(右、1,929m)
今まで御殿庭は秋しか歩いたことがなかったが、夏はどんなだろうと思い歩いてみました。バス停を降り御殿場口の鳥居の前から御殿場口登山道に入ります。鳥居のそばにいる監視員が「地図持っていますか?熱中症にならないよう水を十分取ってください。」と声をかけてくれる。10分ほど歩いて行くと大石茶屋が出てくる。ここを直進すると御殿場口登山道で、左へ行くと御殿庭へのハイキングコースとなる。
砂礫の道は前方の二ツ塚に向かって緩やかに登って行く。今日は快晴の天気で、少しだけ雪が残る富士山がくっきりと見えている。この辺りはスコリアと呼ばれる黒っぽい軽石状の砂礫地帯となっている。ところどころに草地がありイタドリなどの植物がパッチ状(島状)に生えています。
鮮やかなベニイタドリ(紅虎杖) イタドリと富士山
富士山でのイタドリの分布は上限で標高2,600m位までのようです。低地のイタドリと区別するためにオノエイタドリ(尾上虎杖、別名:フジイタドリ、富士虎杖)と呼ばれています。イタドリの花の色は通常白色ですが、赤い花が咲くイタドリをベニイタドリ(別名:メイゲツソウ、明月草)と呼んでいます。従って富士山のイタドリはオノエイタドリ、フジイタドリ、ベニイタドリ、メイゲツソウなどの名前でも呼ばれているのです。低地のイタドリと違い葉が小さく厚く、草丈30cm~50cmほどで花期は7月から8月です。
低地のイタドリ、スイバ、ギシギシは似たような植物でタデ科タデ属でした。種類が多いので現在は分属されています。いずれも多年草で酸味があり食用になります。
イタドリ(虎杖、痛取):イタドリ属。高さ50~150cm、花期7~10月、雌雄異株。スカンポとも呼ばれ河原や荒れ地・土手などに生え人里から山地まで見かけます。イタドリの茎は中空で多数の節があります。若い茎は酸味があり折るとポコッと鳴り、子供の頃食べたことのある人もいると思います。茎を細工して子供の遊び道具にもなりました。四国など地方によっては山菜として利用します。根茎は「虎杖根:こじょうこん」といい緩下剤や利尿作用があり、古来漢方薬としてリュウマチや胃痛便秘などに効果があるとされています。「虎杖」の名前は漢方の生薬名からきています。和名の由来は若葉を揉み傷口に当てると痛みを取ることから「イタドリ」と呼ばれるようになりました。全国で数多くの別名・俗名があります。スカンポ、イタズリ、イタヅラ、イタンコ、イタンポ、カッポン、カワタケ、ゴッポ、ゴンパチ、サシドリ、スイスイ、スッポン、タケスイバ、タケズイコ、タケスカンポ、タジッポ、タリンコ、ダンジ、タンポコ、ドングイ、ドデンカラ、ハータナ、ハータネ、ポッコン、ポンポン等。
スイバ(酸い葉):ギシギシ属。田の畔や草地に生える。葉は長く付け根は矢尻型になる。ヨーロッパでは古くから食用とされる。高さ30~100cm、花期5~8月、雌雄異株。別名ギシギシ、スカンポ、スカンボ、スイスイ。
ギシギシ(羊蹄):ギシギシ属。道端、水辺、湿地に生える。スイバより大型で葉のつけ根はハート型。高さ50~100cm、花期6~8月。別名オカジュンサイ、ウマスカンポ。
下双子山山頂からは愛鷹連峰方面が見えるのだが今日は雲に覆われて見えない。しかし富士山や山中湖方面はよく晴れて見えています。しばらく展望を楽しんでから御殿庭に向かう。ここからは前方に樹林も見えてきて緑が多くなってくる。
草丈が低いヤマホタルブクロ ヤマホタルブクロ(山蛍袋)
この時期、特に目につく花はイタドリとヤマホタルブクロです。黒い砂礫の行く先々で見かけました。ヤマホタルブクロは強風に耐えるためか草丈が10cm程度の低いものを多く見かけました。ハイキングコースは四辻、三辻、小天狗塚の砂礫帯を抜けて、涸れ沢沿いの樹林帯を登るようになります。
ミヤマハンショウヅル(深山半鐘蔓)の果実 御殿庭からの富士山と宝永山(右、2,693m)
しばらくの登りで展望の開ける御殿庭上に到着しました。この辺りは樹高2~3m位のカラマツが多くあります。その一つの木にチングルマの綿毛のようなものが付いています。あとで調べてみたらミヤマハンショウヅル(深山半鐘蔓)の綿毛の種でした。ミヤマハンショウヅルは山地に咲くハンショウヅルの高山型です。そういえば山から帰って街の庭先で見かけたクレマチスにも同じような綿毛の種が付いていました。ミヤマハンショウヅルも園芸種のクレマチスやカザグルマ・テッセンも、皆同じキンポウゲ科センニンソウ属で似たような綿毛の果実(種)をつけます。
御殿庭上から見える風景は素晴らしいです。目の前に広がるのは第三火口でしょうか。イタドリなどがパッチ(島)を形成しています。カラマツなどの針葉樹が疎らに生えています。その上の第一火口の黒い溶岩の上には少し雪の残る富士山が見えています。右側の茶色い岩塊は宝永山です。このような火口を彩る緑や樹林がなかったら、砂礫だけの荒涼とした風景になっていたでしょう。
イタドリと富士山(左)と宝永山(右) 下双子山からの上双子山と富士山
オンタデとイタドリの不思議。オンタデとイタドリはとてもよく似ています。共にタデ科タデ属の多年草です。特徴としてはオンタデはイタドリに比べ葉が大きくざらざらしています。オンタデもイタドリも共に根は地中深く2m以上あります。オンタデの方がイタドリより太い茎と根を持ちます。分布域は異なりオンタデは富士山の5合目(※標高2300m)から8合目(標高3350m)位までに分布が多いのです。イタドリは5合目より下に多く分布しています。オンタデは氷河期のなごりの高山植物だそうです。一方イタドリは平地から山を登って来た植物のようです。富士山の同じ様な場所にあり似たような植物ですが、生まれや育ちは全く違う植物なのです。ちなみにオンタデ(御蓼)の名前の由来は木曾御嶽山で最初に発見されたことからきています。
※合目の標高は各登山ルートにより異なり、この場合は吉田ルートの標高です。
オンタデやイタドリは先駆植物とかパイオニア植物と言われています。なぜでしょうか?それはオンタデやイタドリが森林をつくる先駆けとなるからなのです。
イタドリの場合長年の繁殖を繰り返して絨毯を広げたようなパッチ(島状の群生地)へと成長していきます。パッチは大きなものでは直径が15m程にもなります。このような大型のパッチは数十年以上は経っているのかも知れません。さまざまな環境の影響を受けてパッチが円形であったり楕円形になったりします。不思議なことにこのようなパッチは直径4~5mほどになると中央部分が枯れて来るのです。こうして出来たパッチ中央部の枯れた部分に風などに飛ばされたカラマツなどの他の植物の種子が落ちて生育していきます。このようなイタドリのパッチがどんどん増えることにより、その付近は林となります。そしてやがては森へと変わっていくのです。イタドリやオンタデがパイオニア植物と言われる所以です。現在富士山の標高2400m付近にある森林限界は少しずつ高い位置に登っているそうです。
大砂走りを下る人たち(ズームで撮影) 下双子山からの風景
御殿庭では日差しを避けて火口の縁のカラマツの木陰で休憩します。お昼を過ぎても富士山と宝永山はくっきりと見えています。このように午後になっても富士山に雲が掛からないのは珍しい天気だと思いました。帰りは御殿庭中へと行きかけましたが、倒木が多くて断念しもと来た道を戻ることにしました。再び今朝ほど登った下双子山へと寄ります。下双子山の山頂からは砂煙をあげて大砂走りを下る人たちが見えました。五合目手前の大石茶屋は繁盛していてビールやかき氷などを頼み休憩します。御殿場口五合目からバスで下って行くと、今までの天気が嘘のように下界は時折霧雨の降る曇り空でした。
御殿場口五合目~双子山~御殿庭~双子山~^御殿場口五合目のコース断面図
コ-スタイム 歩行4時間40分 距離10.9km 累積標高±901m
JR御殿場線御殿場駅(バス往復¥1,540)7:35~8:10御殿場口新五合目8:20→9:20下双子山9:45→11:40御殿庭上12:30→13:50四辻→下双子山→14:35大石茶屋→15:10御殿場口新五合目15:35(バス)~御殿場駅
BACK HOME NEXT
山歩きのプラン  | 山の歩き方 | 登山用品と服装 | 山のアラカルト | 山行記録 | プロフィール
Copyright (C) 気ままに山歩き All Rights Reserved